【詳しい人も歓迎】芸術に詳しくない人が芸術について語るトピ【雑談】
271コメント2024/05/12(日) 19:48
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123. 匿名 2024/04/22(月) 23:58:05 [通報]
主です
高村光太郎のこの詩も好きです。妻の智恵子は晩年精神を病み亡くなります。精神病院に入院して最後の方は皮肉にも切り絵などの創作活動に打ち込めたようです。病気になる前は自分の創作活動に自信が無くなり辞めてしまったのに、精神病が悪化してからは自由に創作できたというのが皮肉です
梅酒
死んだ智恵子が造つておいた瓶の梅酒うめしゆは
十年の重みにどんより澱よどんで光を葆つつみ、
いま琥珀こはくの杯に凝つて玉のやうだ。
ひとりで早春の夜ふけの寒いとき、
これをあがつてくださいと、
おのれの死後に遺していつた人を思ふ。
おのれのあたまの壊れる不安に脅かされ、
もうぢき駄目になると思ふ悲に
智恵子は身のまはりの始末をした。
七年の狂気は死んで終つた。
厨くりやに見つけたこの梅酒の芳かをりある甘さを
わたしはしづかにしづかに味はふ。
狂瀾怒濤きようらんどとうの世界の叫も
この一瞬を犯しがたい。
あはれな一個の生命を正視する時、
世界はただこれを遠巻にする。
夜風も絶えた。
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