生きているのが辛い人

かなり昔、二十代の頃、自殺しようとしました
未遂に終わってしまいました


当時、仕事もやめてしまい友だちも一人もおらず、ただ部屋のなかにいました

ずっとずっと誰とも一言も口をきくこともありません。もうものごとすべてに意味を感じられなくなっていたので、テレビはおろか、好きだった映画、本、音楽等もまったく頭に入って来なく、何もやることがありません

文字どおり何もやることがないというのが本当に辛かったです。こう言ってもきっと分かっていただけないと思いますが、自分の意識があるのに、部屋で横になって天井を見ているだけで、その意識を向けるものが何もないのです。ほんとうにほんとうに自分が生きてしまって意識を持っているのが辛い

眠るとものすごい気持ち悪い悪夢や、ものすごい怖い悪夢を見ます。眠りそうになるとき、怖い夢を見そうなのがわかります。怖いので必死に逃れようとしますが、深い暗闇から手が伸びてきて、振り払おうとしても引きずり込まれて悪夢に落ちて行きます。大声で叫んでその叫び声で目が覚めます。頭がおかしくなるような夢を見て、目が覚めてもここがどこで自分がだれかもよく分からないような虚脱状態がずっと続きます

あるいは好きだったけど亡くなった父の夢を見ます。夢のなかで父は生きているのですが目が覚めるてそれが夢だったということを少しずつ思い出すとほんとうに絶望的な虚無感を感じます

目が覚めるとまた自分の辛い現実に意識が戻ってきてしまったことを呪います。起きていても何事も頭に入って来ない、でも悪夢が怖くて眠るのも怖い

意識を持っていることがほんとうに恐怖でした。スイッチがあるならオフにしたい

意識があるのが辛すぎて、その辛さを逃れるため意識をオフにするために死のうと思いました

飛び降り、飛び込み、首吊りなど考えましたが、根性なしなので、どれも痛そうて嫌でした

苦しまずに死ねそうだったのが睡眠薬自殺と車の排気ガスの一酸化炭素中毒です

いろんな薬局を回って少しずつ睡眠薬を買い貯めました。小さなジャムの瓶半分くらいは貯まりました。成分量から致死量は優に超えています

そしてホームセンターで太いホースと連結用のアルミの円筒と丈夫そうなガムテープを買いました

自分のノートとか大事なものはなどはすべて処分しました

そしてある日、自分の好きなシャツを着てレンタカーをし山へ行きました

夜、森の中の道脇を入り突き当たりで車を停めました

ホースを繋いで排ガスを車内に引き入れました。ガスがもれないようにつなぎ目とホースを入れた窓はガムテープで塞ぎます

エンジンをかけて、水とお酒で、睡眠薬を何粒も何粒も呑み込みます。イヤホンで自分の好きなCDをポータブルCDプレーヤーで大音量でかけています
…
…
…

からだを揺すられ誰かの怒鳴り声で揺り起こされました。警察官でした

朝なのか昼なのかもう明るくなっています

なぜか死ぬことができませんでした

薬も致死量飲んだはずなのに
排ガスも何時間も吸ってそれだけでも死ねはずなのに

なんで失敗したのか自分には理由がわかりません